人材育成は公事

ウィズコロナ時代、日本ではすっかりマスク生活が根付きました。それに伴い、相手の声が聞き取りにくい、表情が見えず感情を読み取りづらい、というコミュニケーションの問題も持ち上がっています。欧米人はマスク嫌いと言われますが、理由として彼らは感情を読み取る際に「口元」の観察を重視し、東洋人は「目元」に注力しているとの研究があります。また、欧米人には、表情は言葉の一部という考え方があります。身振り手振りが大きく、表情豊かに会話する、まさに非言語コミュニケーションの達人です。一方で、日本人がきまずい時に笑う、怒っているのに無表情になるなど、気持ちと反する表情を見せることは、彼らには混乱するコミュニケーションにうつるようです。分かっていないのにうなずいたり、分かったふりをするのはなぜなのかという意見もあります。

この現象、みなさんの組織内でも起きていないでしょうか。

もともと日本人は、負の感情や異なる意見をはっきり表すことを控える傾向にあると言われます。会議では意見を言わなかったものの、後になって「あの時はこう思っていた」という話が出てくることは珍しくありません。ビジネスにおいては、感情を出さずに冷静に対応する場面も必要かもしれません。しかし、組織で仕事をする以上、議論が白熱したり想いをぶつけ合ったりすることで、化学反応が起きるのも事実です。場の空気を乱したくないと口を閉ざすのでは、何も生まれません。それぞれが異なる意見を持ち寄り議論することで、物事を多角的に見ることができ、その結果、最適と思われるものを生み出すことができるのです。

自分の感情を表出することが難しい時代、改めて言葉の大切さを認識し、思いを伝え合うことを大切にしてみませんか。