「あらゆる階層に平等に教育したい」「選別するリーダー育成は、うちの文化に合わない」など、平等性を重視して人材育成したいとお客様から要望をうかがうことがあります。組織における「平等性」には、どんなメリット、またはデメリットがあるでしょうか。
まず平等とは。
――かたよりや差別がなく、みな等しいこと。また、そのさま。
組織で考えると、誰もが同じ能力を持つと捉え、同じ扱いをすると解釈できます。平等のもとでは、個々に安心感が生まれ、誤解や対立が起こりにくい側面があります。しかし、優秀な人がそうでない人と同じ処遇や対応を受けると、モチベーションを保てなくなる懸念が出てきます。
育成の目線で考えると、指導がしやすくなり、統一感も期待できます。その反面、個性を見極め、強みを伸ばす方法ではないため、同じような人材を輩出することになります。
組織の安定化のために平等に重きを置くのであれば、同一内容で「平等に」育成するのではなく、個々に応じた教育の機会を「平等に」与えるべきだと思います。
平等と比較される言葉に公平があります。
公平とは、
――すべてのものを同じように扱うこと。判断や処理などが、かたよっていないこと。また、そのさま。
一見、平等と似た印象を持ちますが、最大の違いは、諸条件が考慮されることにあります。各構成単位の違いや差を考慮して、相対的に同じ量の効果を与えることを意味します。組織に置き換えると、個人の能力に差があることを認め、その人の能力に合わせるやり方と言えるでしょう。
平等と公平を説明する有名な絵があります。
平等を重んじる人は、恐らく「差別」しないこ