先日、上司から飛んでくるタスクをこなす毎日で、仕事が楽しくないと相談を受けました。仕事が楽しくないのは、上司のせいでしょうか。上司はタスクとして指示を出します。
「この報告書、早めにまとめておいてね」
「新しい基幹システムの導入を考えているから、市場調査をして報告するように」
こんな時、皆さんは上司に何を確認しますか。
考えられるのは、まずは期限でしょうか。それによって、仕事の優先順位が変わります。新入社員研修では、目的や理由、手段や費用など5W3Hを聞くのがスタンダードな回答ですが、実際に毎回その質問をするのは非効率です。上司から「いちいち聞かなくていいから、早くやっておけ!」と言われ、空気を読みながらやることだけやる社員が育成されるのは想像に難くありません。
一方、成長する社員は、こんな質問をしています。
「どんな仕上がりになっていたら良いでしょうか?」
この質問を受けた上司は、報告書なら作成意図や目的、網羅して欲しい項目などを話しはじめるでしょう。市場調査であれば、新システムの導入が検討された背景から、どんな精度の分析が欲しいのか、データの量と質どちらを優先するのかなど、具体的な説明を加えるでしょう。上司も最初から正解を持っているとは限りません。質問をされてはじめて、期待しているアウトプットを描きはじめることもあります。大切なのは、仕上がりのすり合わせ、「ゴールイメージの共有」です。始めははっきりと見えなくても、上司とコミュニケーションを重ね、すり合わせの精度を上げていく中で、ゴールイメージが確立します。目指すゴールイメージが共有できれば、手段や方法に自由度があるのか、自分なりの工夫を加えることが可能なのかが分かります。登る山にたどり着くまでの道のりを自分で決められるのであれば、どの道で行こうか、どうやって行こうかと思考が回り始めるでしょう。上司の指示をタスクと捉えると、単なる作業となってしまいます。ゴールイメージを確認すれば、仕事が一気に創造的なものに昇華され、やりがいが生まれます。
社会では、「正解」は一つではありません。相手の「正解」に近づけることも必要ですが、「正解」を作り上げる方が多くなります。最短ルートでゴールに着けば効率的です。しかし、回り道をしながら出した「正解」は、自分を成長させてくれます。仕事はそうやって楽しくするものだと、私も先輩から教えてもらいました。
新人さん達にエールを!