元気人インタビュー 株式会社ワークスエンターテイメント会長 前田徹也さん

株式会社ワークスエンターテイメント会長 前田徹也さん

プロフィール
1987年株式会社リクルート入社を経て、1988年宇野康秀氏(現(株)USEN代表 取締役社長)らと共に株式会社インテリジェンス創業。取締役就任。主に大手企業の 新規学卒者採用に関するコンサルティング業務及び組織マネジメントを担当。その後、インテリジェンスの人材派遣事業・有料職業紹介事業の事業立上げ・支社立上げ を担当。その他新規事業の立ち上げを複数実施。 2000年 インテリジェンス株式公開を経て、中堅企業を対象に経営コンサル ティング業務を開始。 合併および社名変更により株式会社ワークスエンターテイメント代表取締役会長に就任。及び(株)デジタルコンストラクション代表取締役に就任。
2006年7月に株式会社NGK 取締役就任

『社員を元気にするための奥義・・・それはコミュニケーション。経営者は睡眠時間を削ってコミュニケーションに時間をかけろ!!』

前田さんにとっての元気の源はなんですか?

好きな人といることですね。好きな人とは、生理的に好きな人、価値観が合う人、哲学が合う人のことです。そういう人と一緒にいて、時間を共有することが元気の源です。

前田さんにとって、好きな人と一緒にいることと企業経営をつなぐものは何ですか?

会社経営においても、会社が元気になる前に、自分が元気じゃなくてはいけない。私の経営に対するこだわりは、気の合う人と一緒にいること。そのために起業し、好きな人と一緒に仕事がするために採用活動にエネルギーを注いできたんです。

人とのつながりをもつ方法が多くある中で、なぜ、起業して採用活動に力をいれようと思ったのですか?きっかけになることがあれば教えてください。

採用活動に力を入れてきたのは、はじめにリクルートという会社に入ったことが大きいですね。リクルートという社名は採用という意味です。それだけに自分たちの採用を徹底してやる(笑)。私はリクルートの内定者時代に大学3年生を口説いていました。昭和63年当時ですが、採用メンバーが50名いましたらかね。すごい人数です。最初に入った会社に影響を受けるじゃないですか。経営者が自ら人を採用するために努力するのは当たり前ということが、すり込まれました。

好きな人と一緒になにかをすることが自分を元気にすると気づいたのはいつごろですか?

小学校時代です。当時サッカーをやっていたのですが、後輩の面倒を見る事、先輩との上下関係を尊重することを学びました。ですから私が人間関係を重視するようになった原点はサッカーであり、この2つの経験が今の私の元気の源に大きく影響しています。

前田さんが元気になれる人はどんな人ですか?

共通項は、自分よりも相手を大切にする人です。自分が一番という考えの人とは共感でき ません。共感できるかどうかは、瞬間でわかります。1つは目です。もう1つは話の中に自慢話が多いとか、人の話が聞けないとか。話す量のバランスが大事です。これまでの経験だと2人で話しているのであれば、互いの話す量は、ぴったり5割ずつが望ましいですね。

前田さんはなぜ起業したのですか?

天の声でしょうか(笑)いいえ冗談です。私はサラリーマンの息子です。自分で起業するとは思っていなかった。宇野康秀さん(現USEN社長)との出会いが大きいですね。彼と会わなかったら経営者にはなっていないと思いますよ。

どういう影響を宇野さんから受けたのですか?

起業に誘われたというよりも、男が男にほれるっていう感覚です。これが私の考え方のベースかも知れません。経営上は役割も大切です。実は役割もチームマネジメント、スポーツがベースになっています。ワンフォーオール、オールフォーワンの精神ですね。

前田さんはどういう役割でしたか?

私は人と人をつなぐ役です。あとは決まったらすぐ動く。人と人とをつなぐことがミッションです。

ご自身の元気のエネルギーをどうやって蓄えてますか?

神仏のご守護です(笑)。自然、緑の中に入って、体と心のバランスを修正します。自分にとって快適な箱根の温泉などに家族と行きます。

元気の源が人と一緒にいることなら、仕事自体でエネルギーを得ているのでは?

そうです。今は、自分のやりたいこと、やれること、や らなくてはいけないことがうまくバランスしている状態なので、モチベーションがいい意味で安定しています。そして、たくさんの気の合う仲間とプロセスと結果としての成功を共有できる。これは2度おいしい元気の蓄積になります。自分も成長することによって、会社が成長するといった、いいサイクルに早くもっていくことが大事です。あと利益の配分にビジョンがあればさらにいい。

社員を元気にするために意識していることは?

奥義があります(笑)。シンプルにコミュニケーションです。コミュニケーションの重 要性はよく言われているができない人が多い。出来ない人は単純に量が足りないんです。1時間でだめなら2時間話さなくてはいけない。本音を話していないのがよくない。本音で話すには量が必要です。いきなりあって瞬間的に共感し会えることは少ないです。困ったらとにかく話してみることを心がけています。よく 言うのですが、焼肉を一緒に食べにいけば、そば屋に行くよりも時間が長くなる。心のどこかで早く終えたいと思っているとついついそば屋に行ってしまう。

たくさんの社員がいらっしゃいますが、全体を活性化するために何をされていますか?

社員が増えてもコミュニケーションを充実させ て全体を活性化します。簡単です。睡眠時間を削ればいいのです。3時間寝れば死なないでしょ。時間がないって言う人に限って8時間くらい寝ていると思いますよ。銀座に行く時間があったら、社員とコミュニケーションをとったほうがいい。時間がないと言っている経営者に限ってコミュニケーションに時間を割いていないと思います。

では、前田さんのコミュニケーションの時間を教えてください。

実はそんなに多くないです(笑)。私には経験がありますから時間をかけなくても社員のことがわかるようになります。メールコミュニケーション、スケジュールなどは見れば何を考えているのかが分かります。そして気になれば すぐ電話して話をします。私は全員には無理ですが、事業の責任者には直接電話します。常に部下をモニタリングする時間は割いています。本当にアラームを鳴らしてきたら、何をおいても部下に対するケアを最優先します。

コミュニケーションの量が質に変わってくるプロセスを教えてください。

コミュニケーションといっても、中身は色々です。月次、営業、経理財務、クォーターなどのミーティングもそうです。全てにおいてコミュニケーションの場の成果イメージを持っていることが大事です。終わったときに どのようなマインドシェアをしたいかについてシミュレーションします。事前にメールでリーダーに確認をとっておきます。そうすると意思決定も早いですよ。

コミュニケーションにテクニックはありますか?

コミュニケーションにテクニックは不要です。常にコミュニケーションです。何かあったら声をかけてやりたい。仕事の主目的がコミュニケーションです。有事平時を分けてもいない。

前田さんご自身が人を元気にさせるムードを持っています。意識してやっておられるのですか?自然とそういう行動になるのですか?

両方です。作戦も持っています。例えば、みんなでお昼ご飯を食べに行くと、社員はうれしいでしょ。本音でしゃべりますよ。たまに、経営者と話すといいことを話そうとする人もいますが、そういう人とはコミュニケーションの量がより必要です。あとは待ってあげることも大切。とにかくコミュニケーションをとりたい人を採用しておけば、こちらもコミュニケーションをとりたいという意欲を持てます。うるさいといわれても私は話したいと思う。だから採用活動は大事です。また、評価制度をきちんとすることも大事。結局、能力と成果を公に評価されることが重要です。主観的、エコ贔屓がないことが重要。なるべくやったこと を定量化する努力を経営者がする必要があります。評価の工夫がいろいろあるにせよ、経営者が100名は評価しないとだめ。私は3時間で100人まで評価できます。

前田さんにとって社員、組織が元気な状態はどんな状態ですか?

成功事例がメールで飛び交う状態です。それと同時に悪いこともトッ プに情報が早く上がる会社も元気になっていると思います。いいかえるとチャレンジを奨励しているということです。失敗していいんだということ。それが認知でありコミュニケーションです。実際に失敗したときに普段言っていること、その時の対応が一致していないと社員は信用しないと思いますよ。

ところで、元気でイメージする色は何ですか?

ブルーです。空の色。緑。自然の色。疲れたとき癒されたいと思う。深呼吸したい色。呼吸が浅いと疲労します。現代人は呼吸が浅いと思います。鼻から吸って口から出す。これをやっていれば免疫力が上がって病気にならない。また、いい刺激と悪い刺激の場所があります。自分で悪い刺激の場所を作っていけない。いい呼吸が出来る環境を自分で作っていると疲れないと思います。

サラリーマンは自分で環境を選べないことも多いですよね。その場合はどうすればいいのでしょうか?

心と身体のバランスが大事です。往々にして心の疲れが疲労させていると思いますよ。心のバランスをとるために何かをしてみる。働くフィールドを変えてみることを一考することも必要でしょう。同じ状態にいたら麻痺してしまい、免疫力が落ちるのです。

では、社会を元気にするためのメッセージをお願いします。

今の心と身体のバランスをチェックしてみましょう。そして、幸せの定義をしてみてください。自分と家族の幸せを明文化してみましょう。会社も経営ビジョンを明文化する必要がある。自分と家族もやってみるべきです。家族が源だから。

前田さんの家族の定義は何ですか?

私の家族の定義は、一人ひとりが社会に役に立っている実感をもてることです。その出発点は個性の認識。強みや個性を知ることでセルフスターターになれる。私は、「子育ては個育てだ」といっています。

最後に前田さんのこれから展望を教えてください。

企業経営と社会事業の両立の追及を目指しています。利益を度外視して、目に見える何かを創出し、残していく。再投資するのではなく、社会に根付かせるために、投資してしまう。そして子々孫々まで目に見える形で残したいですね。この分野は、私にとって未開拓の部分です。ベンチャー上場経営者へのアンチテーゼでもあります。自分たちだけ儲けていいのか?先人には会社の利益で高崎に観音様を作ってしまった人もいるのです。社員もその家族もいい会社に入ったと思ってくれるような意義あることをしたい。そうした人間として根源的なことを 大切にしたいと思っています。

長時間にわたりありがとうございました。