元気人インタビュー 株式会社 社員教育センター 代表取締役 北龍賢さん

プロフィール
大学卒業後、外資企業に入社。
入社後3年目から4年間43営業所の最優秀マネジャーとして全国一の実績を残す。
27歳で営業部門の研修、営業力強化の指導に的を絞った研修、コンサルティング、講演会の講師として、満39年。
ダイキン工業・島津製作所・九州電力グループ企業・フランスベッド・日本レンタカーアーバンネットなど、メーカーから流通サービスまで、業績を問わず組織営業力の強化で実績がある。
指導力の真骨頂は「成果を出す、出し続けられる」仕組みづくりにあり、その実力はクライアントから感謝状をもらうほど。

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『逆風の時代だからこそ、できる、組織営業強化による組織元気化の秘訣』

営業コンサルタント暦が39年だそうですが、この道に入ったきっかけは何ですか?

  大学卒業後、外資系企業で営業していましたが、その方法は日本ではめずらしいものでした。
ちょうど、今の外資の原型のような営業手法です。
海外転勤をきっかけに退職して独立し、現在に至っています。

やはり独立した直後は大変でしたか?

幸せなことに、自身の営業活動には困りませんでした。
まず、独立してしばらくすると取材が入りました。
アメリカンセールス体験記を書いて欲しいという依頼です。
その後に、その体験記を読んだ読者から講演依頼が入りました。
そこから、大手電機メーカーの組織営業力強化のコンサルティングに結びつきました。
その後も、日本の大手メーカーの新しいチャネルづくりのコンサルティングなどを行いました。
当時の外資での営業経験という実績があったから、幸せなことに声がかかりました。

ご自身のコンサルティング手法での“こだわり”は何ですか?

「企業から依頼された責任を負う、できる範疇で、結果が出るまでやる」ということです。
自分も責任の一旦を担うので、やり方はかなり現実的かもしれません。渦中の人物としてやることが大切なのです。
特定業界のトレーナーが指導する営業スキル教育をもともと知らず、また、特定業種にこだわらず、業界を知らないからこそ私独自の手法ができたのかもしれません。
そこには理屈ではないベースの考え方がありますからね。

「渦中の人物としてやる」という姿勢が結果に現れるのですね?

私は「先生」ではいたくないのです。
ビジネスとビジネスの接点が大切で、私のコンサルティングを受ける側にも仕事がある。
自分にとっても、もちろんビジネスです。先生になったとたんに現場の情報が入らなくなります。
顧客と共に“渦中”にいたいのです。
それはコンサル業界を知らなかったから、顧客中心の発想があるのかもしれません。 ちょっと違った発想を持った人が入ることで、啓発できることはたくさんあると思います。
ですから、私が現場に入って「目的のために一緒に頑張りませんか?」というメッセージを投げるのです。

営業コンサルティングに特化するこだわりは何でしょうか?

お客様は、うまくいかないからプロを求めていると思います。
私は営業コンサルティングを自身のプロの領域にしています。
報酬をいただく以上、お客様はプロを求めているから、営業以外の仕事は依頼をうけても他のプロに紹介します。

営業のコンサルティングですと、すぐに営業数字としての成果を求められるのでは?

私は営業コンサルティングのプロなので、「お客様が求める目的に対してどれくらいの期間が必要か?」から支援を行います。
計画づくりとビジョンづくりです。
そして、クライアントの実際のケースを中心に支援を行うので成果は出てきます。

期間によっては、短すぎて成果を出すには難しい場合もあるのでは?

もちろん、課題を出したものに対して、実行できる人とできない人は出てきます。
例えば、一年で結果を出して欲しいという企業があるとすると、難易度は多少上がりますので、出した課題に対して実行できた人とできない人が出てきます。
そのような中でも、2割はすごく伸びて、2割は全く変わらないで、残りの6割は良い影響を受けるのです。
結果的に、トータルで考えるとチーム全体として伸びているということになるのです。

営業コンサルタントとして顧客企業から「社長賞」など多く受賞されていますね。

一緒になって数字をあげたので、光栄なことに社長賞を2回もいただいた企業もありました。
その他にも、業績の向上に寄与したとのことで幾つかの企業から感謝状や表彰状をいただきました。

コンサルタントで、業績に寄与して企業から表彰される方は初めて聞きました。

コンサルタントの中には責任感がない人もいると思います。
「やらない相手が悪い」と言ってしまえばそこまでです。
しかし、受けた以上は責任がある。顧客は期待して依頼したので、期待に応えるのがプロであると考えています。
そういった責任感が私を動かしているのかもしれません。

営業コンサルティングの醍醐味は何ですか?

今日のビジネスは日々めまぐるしく変わっています。
根底は同じでも、「今」の話をするから責任感が生まれるのです。
常に営業コンサルティングの現場で、最新の情報を得て、プロとしての仕事を行い、その責任感が私を元気にさせています。

真剣に対峙するということですね?

そうです。 基本的な考え方として、「やらされている感」は自身の関与がなくなると落ちますが、「やっている感」は、関与が終わったとしても続きます。
「最近はあの時の事を忘れていますね」は悲しいものです。
「あの時の○○が今、活きているんです」という言葉は非常に嬉しいですね。

契約を継続される企業が多いそうですが、指導の秘訣はありますか?

常に「一歩先」を行くことです。
関与先企業での営業力を把握して、それに合わせて「一歩先」を行くことです。
例えば、営業レベルが「2」だと、「5」の話をしても受け入れてくれません。
「2」には「2.5」位の話をしなきゃダメです。身近に感じさせることです。
「そんなことなら、私もできます」という気持ちにさせることです。
視線を合わせると、人も組織も伸びるので、常に一歩先を見て指導する必要があります。
「2.5」になったら「3」の話を、というように常に一歩先を行きます。

「そんなことたしたことない」と「スゴイ」は紙一重ですね?

コンサルティング現場では、「こんなことならできる!」といって実践しても、失敗している方は多いのです。
理由はテクニックに走っているからです。
表面的な話は聞いている方はわかります。 コンサルタントをしている方で「これは俺のノウハウだ」と言う人がいらっしゃいます。
私は「ノウハウは陳腐化する。」と考えています。
ですから、私の営業コンサルティングのノウハウは全てオープンにしています。
ノウハウを出したら、新しく何かをインプットしなければならず、そうなると、新しい物を常に考えるようになります。
お客様には「発想の幅を広げなさい、あらゆる角度で・・・」と言っているので、自分でも実施するのは至極当たり前のことです。

逆風の時代だからこそできる、組織営業強化による組織元気化の秘訣として「新たなワークシェアリング」を提唱されていますが 、詳しく教えていただけますか?

不況期の営業のあり方について、一つ提案したいことがあります。
それは、社内における「新たなワークシェアリング」です。
ご存知のようにワークシェアリングとは、限られた量の仕事を分かち合うことで、ある程度の収入減は我慢しながら、組織全体の雇用の確保を守ろうという考え方です。
その是非を論じるのは別の機会に譲りますが、私が提案する「新たなワークシェアリング」は、まったく別のものです。
不況期には受注減や開発費の抑制などによって、時間に余裕ができてしまいやすい部門があります。 技術部門、開発部門、製造部門、保守部門などです。
これらの人々に、営業活動に支援と参画をしてもらうのです。
 もちろん、営業職に配置換えを行うという意味ではありません。
まずは社内において、従来なかなかとれなかった、部門の壁を越えた意見交換・情報交換の機会を増やし、意識の共有を図るのです。

社内の情報共有を活発に行うということですね。

といっても堅苦しくは考えず、顔を合わせる機会を増やして、何かあったときに声をかけやすい雰囲気を醸成するだけでも意味があります。
そして、次のステップとしては、顧客訪問の際の同行を増やします。
これも、よくある非営業職の営業研修としてではなく、純粋にそれぞれの専門分野での情報収集や顧客への説明のためと考えて構いません。
営業的な要素は薄まるかもしれませんが、だからこそ顧客からも普段は聞き出せない話が飛び出したり、普段は不足しがちな専門的な説明の機会とすることができます。
これらの情報の蓄積は、逆風後のスタートダッシュに有機的な効果を生むことにつながるはずです。
 こういった営業職と非営業職の協力関係の強化は、社内の一体感を高め、全社的な意味での組織営業力強化にもつながります。

たしかに、今までお客様と話す機会が少ない開発や技術部門の方が、お客様と接することでイノベーションが生まれるかもしれませんし、コミュニケーションも活発になりますね。 このことはどの企業においても逆風が吹いている時期に行うことに意味がありそうですね。

従来のワークシェアリングは、限られた大きさのパイ(仕事)をみんなで分け合っていくものですが、この「新たなワークシェアリング」は、仕事を分け合うことで、パイ(仕事の成果)そのものを大きくしていこうというものです。
どちらもそれなりの価値があるものではあります。
しかし、逆風がやんだときにどうしても疲弊が残ってしまいがちな従来のワークシェアリングに対して、新たなワークシェアリングは、大きなエネルギーとすることができると考えています。
厳しい状況が続く中、営業担当をはじめ企業の皆さんは大変な苦労を強いられています。
しかし、だからといって首をすくめて嵐が過ぎるのを待つだけではなく、時にはあえて逆風に顔を向けることも必要なのではないでしょうか。

なるほど。たしかに仕事(ワーク)を分け合う(シェア)するだけとは、まったく意味合いが違いますね! その他にコンサルティングの現場で大切にしていることはありますか?

私のワークシェアリングの発想も然り、考えればアイデアや解決策は出てきます。
ですから、どんな場合でも顧客が考えることを重視しています。お互い、それぞれの営業現場という共通の情報があれば考えることができます。
共通の話題がないと、議論にもなりません。
ヒントは提供するが、考えさせることが大切です。
弱いところは「指摘」ではなく、「教える」ということです。

「知識を人に教えること」と「考えさせること」のバランスは?

レベルに応じてです。
若手に対するコンサルティングの組み立てとベテラン営業マンに対する組み立ては全く違います。
先ほどの「一歩先」の話にも通じますが、その人たちに合ったレベルに合わせることです。

では、人のレベルの見抜き方は?

客観的に見ることです。
例えば、講義のメモの取り方。人間は無関心なことはメモをとらないものです。
メモをとる部分で、その人のレベルがわかってしまいます。
徹底的にお客様中心で、彼らのディスカッションの内容も聞いていないようで聞いています。しつこいようですが、相手の目から見て、渦中の人物になるということです。
組織営業力を上げる場合に、コンサルタントとして「相手のレベルに合わせる」などありましたが、お客様サイドが明日からでもできる「組織営業力を上げるのに必要なこと」はありますか?
3つあります。
まずは、「本音の情報共有」です。共有すべき情報は何なのか?を明確にして情報を共有することです。
「情報を読む力」が二番目です。渦中の人物だと、情報が整理されていなくても背景を押さえて理解できるので、情報の背景を踏まえて情報を読むことが可能です。
営業できる人は「読む力」がある人がほとんどです。同行していて、お客様から同じ情報を聞いても、受け取り方は違います。
三番目は「実行品質を問う」です。例えば、メンバーが提案した報告を受けたなら、その中身の詳細まで聴くことです。
「説明しました」と言われたら「誰に?」という具合にです。
営業先でキーマンに会えていなかったり、見当違いの人に提案していては、通る提案も通りません。進捗に対して質問を効果的にするということですが、これは外部のコンサルタントが行った方が有効な場合もあります。

なるほど。今の3つのテーマで目標値を掲げながらコーチングをするのですね?

そうです。誰でもできることですが、難しいことだと思います。

コンサルタントでも、今言われたような支援ができる人とできない人の違いは何でしょうか?

阻害する要因としては、「コンサルタントとしてのプライド」と「ストーリーを本気になって信じていない」、「表面的な手法に頼りすぎ」と言う点ですね。
プライドがあると、相手に合わせることもできません。誰でもできるようで意外とできません。
皆、私と接すると自信がでるはずです。「北龍さんがこのレベルなら、自分でも大丈夫!」と(笑)
支援方法が表面的すぎることも多いようです。流行の言葉や、横文字が大好きですからね。
しかし、それは自分のものでなく、借り物に過ぎません。
例えば、「選択と集中」といって取り組みますが、「選択と集中」のリスクが語られることはほとんどありません。

コンサルタントとして、渦中に入りすぎてもダメですよね?

もちろん。見えなくなってしまいますからね。
私は「メンバーの資質を引き出す環境をいかに作るか?」に集中しています。
たまに「北龍さんが間に入ると、皆、本音を出すのはなぜ?」と聞かれますが、能力を認めて方向付けをすれば、誰もが元気になるのです。
顧客と話をする上でのトレーニングに応酬話法がありますが、私は本質的に好きではありません。
ハウツーのテクニックにすぎませんからね。
そんなのでうまく行くなら、話し方教室の先生が営業トップになれます。しかしそうではないと思います。

北龍さんはいつも楽しそうにしていますが、元気の源は?

絶えず夢を持つということです。
昔からの発想で、「やる以上は35歳になったらこういう状態が良い」さらに「40歳になったら、こういう仕事が良い」と目標を立てて、さらに、その先の夢を実現するために動いています。
なので、元気です。

例えば、5年後に向けた夢は何でしょうか?

個人で言うと、今まで接した、あるいは接している企業が「北龍と出会って良かった」と言ってもらえる仕事をし続けることです。

元気な会社とそうでない会社の違いはありましたか?元気な状態とは?

ざっくばらんに話せること。しこりが残らないこと。
強い営業部隊はざっくばらんです。
さらに言うと、元気な組織はタテとヨコがうまく組まれている組織です。
タテの発想は責任の発想、部下の失敗は上司の責任。
横の発想は役割、つまり円の組織。
真ん中に目標があって、周りはそれぞれの役割が入る。
部長の役割・課長の役割・・・と。
タテとヨコがうまく組まれていると元気だと思います。


北龍さんの営業コンサルティングの根底には、たしかな原理原則があります。 コンサルタントとして、場を読む力、個人個人にあわせて質問を投げかける力。それらを組み合わせて「渦中の人」として共に成果を生み出す姿勢・・・。 そういう北龍氏の考えをともに広めたいとNGKも考えています。